緩和ケア
「力になりたい」思いを伝える・聴く
山口 牧子
2026年4月19日
伏見の桜の季節も終わり、公園で遊んでいた子ども達も新学期が始まり学校に通っています。春は新しい環境のスタートで、私も子どもが小さい頃は、どうかいっぱい楽しんで、ますます成長できますようにと願いながら、ランドセルの背中にいってらっしゃいの声をかけていました。そんな当たり前と思っていた日常の中で、子ども達のお母さんががんになり、痛みで動けなくなってしまったBさん。私が緩和ケア認定看護師として、看護師Aさんから相談を受けたBさんの事例を紹介します。
Bさんは40代の女性で、中学生と小学2年生のお子さんのお母さんです。ある日がんの診断を受け、治療を頑張ってきました。元のがんは落ち着いてきましたが、残念ながら転移があり、追加の治療を行いました。治療後も膝を動かすと激痛があり、足のむくみもありました。痛み止めの麻薬を増やしましたが、思うように痛みが消えず、歩くのがままならない状態でした。Bさんはお子さんの行事には夫の助けを借りてできるだけ参加していましたが、帰宅すると痛みが強くなり、とても辛い状況になっていました。
担当の看護師Aさんは、訪問時には毎回リンパマッサージをし、圧着包帯を巻いて少しでも楽になるように、療法士とも連携しながらケアをしていました。
そのような関わりの中で看護師Aさんは、Bさんの病気はどうなるのだろうか、痛みはどうしたら楽になるのか、Bさんや家族の今後についてどう思っているのだろうかと気になっていました。でも、Bさんにとって辛い話を聞いてもいいのだろうか、自分が尋ねることでBさんを傷つけてしまうのではないかと心配して聞けずにいました。
そこで、私はBさんの状況を事前に看護師Aさんと療法士さんとカンファレンスし、課題として痛みを少しでも緩和したい。そして、看護師AさんはBさんと良い関係性を築けているので、Bさんの力になりたいことを伝えて、聞きたいことを尋ねてみようと話し合いました。後日、私は看護師Aさんと一緒にBさんのお宅に訪問しました。
Bさんは気さくな方で、まだ春休みで子ども達が家にいましたが、痛みがある中でも明るくお話ししてくださいました。そこで、病気のことを医師からどう聞いているのか、それについてどう思っているのかなどを尋ねました。Bさんはしっかりとご自分の現状を理解されていました。そして、動くことが困難で家族に負担をかけており、子どものために役割を果たすために、痛みをなんとかしたいと思っていることを話してくださいました。実際に足の状況を見せていただき、動かし方や出かける前に事前に痛み止めを飲む方法を提案しました。
また、看護師AさんがBさんの病気の成り行きや家族に対して、力になりたいと思っていることを伝え、そのためにお話を伺っても良いかを尋ねました。Bさんは、とてもうれしいとおっしゃってくださって、なんでも聞いてくださいと言われました。そして、心にかかっていることとして、上のお子さんにはがんであることを伝えていること、下の子にはまだ幼くて言えていないこと。精神的に辛い時期もあって、その時に自分が吐いた言葉を子どもが聞いて傷つけたのではないか心配していることなど、涙を流しながら教えてくださいました。
お子さんたちは明るく、Bさんの想いは伝っていると感じられ、これから一緒に考えていきましょうとお話ししました。また、辛くて家族には言えない時は、スタッフに吐露して良いことを伝えました。
この事例では、看護師Aさんは、Bさんの力になりたいと思うと同時に、辛さや苦悩に触れることに不安を感じていました。担当看護師はBさんも辛さを理解し、思いがあるからこそ聞けないことがあります。そんな看護師Aさんの気持ちを伝えることで、Bさんは看護師Aさんに自分のことを思ってもらえている、話してもいいんだと感じることができたと思います。思いを伝える、聴くことで、お互いの共感がさらに高まった事例でした。
私たちはいつも利用者さんからたくさんの学びを得ます。私はBさんのおかげで、看護師Aさんのこれまでのケアが認められたようでとてもうれしく感じました。
私たちは、これからもご本人やご家族と寄り添い、共に歩んでいきたいと思いました。

訪問看護リハビリステーションたもつでは、緩和ケア認定看護師 山口牧子を中心に緩和ケア・人生会議について共に考え進んでいます。
訪問看護リハビリステーションたもつでは、京都市伏見区、京都市南区、山科区を訪問しています。あらゆる疾患に対して、24時間365日体制で訪問させていただきます。訪問看護訪問看護リハビリステーションたもつ京田辺 は、京田辺市、城陽市、井手町、宇治田原町、精華町の訪問体制を更なる構築したいと考えています。スローガンではなく、実際に活動できる実績のあるステーションとなったと自負しています。
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統括所長 西谷 保
山口 牧子
看護師
利用者とその家族の思いを聴き、その思いをできるだけ叶えられるよう、共に考えること。
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