食べること
生きがいやその人らしさの尊重
平良 英彦
2025年5月30日
看護師の平良英彦です。訪問看護師となり1年が過ぎました。
寒さが過ぎ、涼しい春を迎えたと思いきや、三十度を超える真夏日が訪れるなど、日本には四季がなくなったのではないかと感じてしまう今日この頃ですが、皆様はどのようにお過ごしでしょうか。
今回は誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しながらも、自分らしく住み慣れた自宅で口からご飯を食べ生活することを選択されたAさんのお話をしたいと思います。
Aさんは80歳代で間質性肺炎を患らい、増悪と寛解を繰り返していました。
過去〇回の挿管の影響で片側の声帯麻痺があり嗄声や嚥下障害を認めており、医師からも嚥下機能自体を回復させることは難しいため、今後も誤嚥を繰り返すリスクが高く命の保証はできないと説明を受けていた。経管栄養や胃瘻などの選択肢を提案されたが、自らの意思と希望で自宅へ帰り、口からご飯を食べることを選び退院となりました。Aさんの性格を表現するならば、曲がったことが嫌いで、言いたいこと迷いなく言うような方で、例えるなら昭和の頑固おやじを想像するような印象である。家族背景として妻は数年前に他界し息子さんと同居。二人の娘さんも近隣に住んでおり協力的であり、息子さんや娘さんもAさんの選択には同意され在宅生活を全力でサポートすることになりました。
在宅生活の準備として訪問診療医、訪問看護、福祉用具等を調整し退院となりました。
看護師の初回訪問時にクリティカルケア認定看護師と摂食嚥下認定看護師が同行し、呼吸状態や嚥下機能を評価や家族に吸引指導を行いました。ご家族の協力もありペースト食から開始し誤嚥もなく順調に経過していました。嚥下機能としては、リスクを考えてもペースト食までが限界と評価していましたが、食べたい欲求が日増しに強くなり、看護師訪問以外の日に焼きそばやお寿司を食べることもしばしばありました。Aさんからは「好きな物食べて死ぬなら本望や」「食べるために退院したんやから」と。
訪問診療医と看護師からも誤嚥のリスクについて十分説明はしていましたが、ご家族もAさんの要望や生きがいを尊重するかたちで、ペースト食以外の食事もAさんの要望に応じて時々摂取している日々が続いていました。
訪問看護開始から1ヶ月を過ぎた頃に、食後に呼吸状態の悪化を認め、誤嚥性肺炎で入院になったと報告を受けました。一時は容体も回復して自宅退院の調整をしていた矢先に再び状態が悪化し、自宅の帰ることなくご逝去されました。
娘さんからは「自宅に退院して好きなご飯をたべられて本当によかった」「父らしい最後だったと思います。訪問看護さんには本当に感謝しています」とお言葉をいただいた。
Aさんを支援する立場として自宅に帰りたい思いや、好きな物を食べたいという思いなど、Aさんの生きがいやその人らしさと言う意味では願いを叶えてあげることが出来たと思います。しかし、看護師として誤嚥のリスクを感じながらも、Aさんの生きがいや、その人らしさを最優先に考えなければならない状況があること、医療者の見えている課題が必ずしも利用者さんや家族の最優先の課題ではないことを知る貴重な経験になりました。今後もこの経験を活かし利用者さんやご家族の生きがいや、その人らしさに寄り添える訪問看護師になりたいです。

訪問看護リハビリステーションたもつは、健康、生活、笑顔(生きがい)を大切に支援させて頂いております。
訪問看護リハビリステーションたもつ(伏見)では、京都市伏見区、京都市南区、山科区を訪問しています。あらゆる疾患に対して、24時間365日体制で訪問させていただきます。訪問看護訪問看護リハビリステーションたもつ京田辺 は、京田辺市、城陽市、井手町、宇治田原町、精華町の訪問体制を更なる構築したいと考えています。スローガンではなく、実際に活動できる実績のあるステーションとなったと自負しています。
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平良 英彦
看護師
管理者(山科)
救急看護認定看護師
呼吸器分野特定看護師
利用者さんとご家族のニーズを捉え、できる限りニーズを充足できるようの共に考えていきたいです
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