チーム力 言語化 共有
チームステップス(Team STEPPS)を訪問看護に活かすには
豊崎 宏行
2025年12月29日
先日Team STEPPS(チームとしてのより良いパフォーマンスと患者安全を高めるための戦略とツール)という研修会に参加しました。
Team STEPPSとは、医療の安全性と質を高めるための「チームワーク向上プログラム」です。
もともとは米国国防総省とAHRQ(米国医療研究・品質庁)が、航空業界や国防総省などの事故対策実績をもとに開発・作成し、その手法を医療現場にも取り入れて、医療現場でのヒューマンエラーを減らすことを目的に活用されています。
今回は、Team STEPPSの考え方を、訪問看護の現場でどのように活かせるかについて考えてみました。
Team STEPPSは、医療安全とチームワーク向上を目的としたフレームワークであり「リーダーシップ」「状況モニタリング」「相互支援」「コミュニケーション」の4つの要素から成り立っています。訪問看護は基本的に単独で訪問することが多く、病院とは異なる環境ですが、だからこそチームとしての連携の質が重要であると再認識しました。
まずコミュニケーションについて。訪問看護では、スタッフ間の情報共有が電話やメール・訪問記録・カンファレンスに限られることが多いです。SBARを意識した報告や、要点を明確にした記録を心がけることで、限られた情報でも状況が伝わりやすくなると思います。特に、急変リスクや家族背景などは「なんとなく」ではなく、しっかりと言語化して共有することが重要だと考えます。
次に状況モニタリング。利用者やその家族だけでなく、自分自身の疲労や判断の偏りにも目を向ける必要があります。単独訪問だからこそ「いつもと違う」に気づいたら、早めにかかりつけの医療機関や訪問診療医、ステーションへ相談することが重要になります。また、他スタッフの訪問状況にも関心を持ち、記録を通じて全体像を把握することが、チームとしての安全につながると考えます。
相互支援の視点では「今、何か手伝えることはあるか」を言葉にすることが重要だと感じました。訪問看護では直接的な手助けが難しい場面が多いのですが、精神的な支援や助言、同行提案なども立派な相互支援だと考えます。
最後にリーダーシップ。管理者やリーダーだけでなく、各スタッフがその場その場で小さなリーダーシップを発揮することが、訪問看護では特に求められます。判断に迷ったときに声を上げる、課題を共有することもリーダーシップの一つであると考えます。
実際の訪問では「コミュニケーション」や「状況モニタリング」を特に意識して実践しています。利用者やその家族から得られた言葉を客観的な情報として主治医やケアマネジャーなどにタイムリーに共有して、利用者や家族に必要な医療の提供や、福祉用具の迅速な提供に繋がっているのではないかと思います。また客観的な情報をしっかりと言語化して共通認識を図ることで、万一の時に迅速な行動に繋がっています。
今回の研修を受けて、自分自身の訪問実践で不足していると感じたのは、ヘルパーとの情報共有が少ないことです。特に入院療養から自宅に戻ってきた時の状態をヘルパーに提供する「看護サマリーを通したコミュニケーション」が不足していると感じました。看護サマリーは入院中の利用者の情報が記載されており、チーム医療を円滑に行うための重要な情報になります。訪問看護師だけで共有するのではなくヘルパーにも情報提供を行い、共通認識を持って同じ視点で利用者に関わる必要があります。「看護サマリーはチームで共有する」という認識に改める必要があると感じましたし、目に見えないチームワークの重要性を再認識しました。
Team STEPPSの目的は、医療事故・ヒヤリハットの予防、情報伝達ミスの減少、チームで「気づき」「判断し」「行動する」力を高めることにあります。つまり「一人の力」ではなく「チームの力」で利用者とその家族の安心安全を守る考え方です。看護師は単独で訪問することがほとんどですが、利用者やその家族を中心に医師、薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパーなどが一つのチームとなって関わっていることを改めて実感した研修でした。
今回の振り返りを通して、Team STEPPSは「病院向けの考え方」ではなく、チームとしての形が見えにくい訪問看護だからこそ意識すべき視点が多いと感じました。今後は、日々の記録や申し送り、カンファレンスの中で、Team STEPPSの要素を意識し、安心・安全で質の高い訪問看護につなげていきたいと思います。

訪問看護リハビリステーションたもつでは、利用者さんの力、たもつチームの力と地域の力を最大限に発揮でるように支援しています。
訪問看護リハビリステーションたもつでは、京都市伏見区、京都市南区、山科区を訪問しています。あらゆる疾患に対して、24時間365日体制で訪問させていただきます。訪問看護訪問看護リハビリステーションたもつ京田辺 は、京田辺市、城陽市、井手町、宇治田原町、精華町の訪問体制を更なる構築したいと考えています。スローガンではなく、実際に活動できる実績のあるステーションとなったと自負しています。
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統括所長 西谷 保
豊崎 宏行
看護師
看護主任
救急看護認定看護師
訪問看護を利用する方やその家族の想いを理解し、利用者・家族が思い描く在宅療養生活ができるよう支援していきたい。
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