老老介護
高齢者ケアラーとの関わり
豊崎 宏行
2026年6月28日
認知症とは、単なる「年をとって生じるもの忘れ」ではなく、「脳の病気や障害によって認知機能が低下し、それによって日常生活や社会生活に支障が出ている状態」を指します。医学的には特定の病名ではなく、頭痛や腹痛のような「状態を表す言葉」です。
厚生労働省の研究班による最新の将来推計では、日本国内の認知症の人の数は約440万〜470万人とされています。かつては「2025年には約700万人(高齢者の5人に1人)に達する」という予測もありましたが、近年の生活習慣の改善(喫煙率の低下や食事の見直しなど)によって発症リスクが抑えられた結果、推計値は当初の想定より下方修正されました。
これまでは「高齢者の5人に1人が認知症」という言葉がよく使われていましたが、最新データでは「将来的に5.6人に1人が認知症になる」という見立てになっています。それでも非常に高い割合であり、ご夫婦のどちらか、あるいは双方が認知症になるケースは、どの家庭にとっても決して珍しくない身近な問題となっています。そして、どちらかが認知症の高齢夫婦の生活は、想像を絶するほど大変なのが実情です。訪問看護の現場でも、「高齢者の一人暮らし」より「認知症の人と高齢の配偶者の2人暮らし(老老介護)」のほうが、限界を迎えて破綻するリスクが圧倒的に高いと言われています。
私は「夫婦どちらかが認知症で、夫婦2人暮らし」というケースを担当しています。
いずれのご夫婦も、2人で暮らすには困難な状況がいくつもあり、どのように支援を行えば良いか、日々頭を悩ませています。
あるご夫婦は、認知機能の低下が進んでいる利用者が同居家族に暴言等を吐き、たまりかねて別居家族に助けを求めた、ということがありました。毎週看護師訪問を行なっている時はとても穏やかで、丁寧な姿を見ていたため、そのギャップに驚きましたし、認知症状の一端は分かっていたものの、そのギャップに気付くことができなかった歯痒さも痛感しました。
ギャップに気付くことができなかった原因の一つとして、ご家族の世間の目(プライド)を非常に強く感じていたことが分かりました。そのため、当の本人は認知症状の一端が垣間見えていたにも関わらず、同居家族は「いつも元気にしてます、家のことも良くやってくれます」など前向きな発言をされ、しかしその反対側では認知症状のご家族の対応に苦慮され、別居家族に助けを求めていました。
高齢者世代には「家族の恥を外に晒したくない」「近所に知られたくない」という意識が強く働きがちです。相談をためらっているうちに症状が進行する、周囲に気づかれた時には、介護者がうつ状態になっていたり、生活が崩壊寸前になっていたりするケースが後を絶ちません。
結果としてはケアマネジャーの介入のもと、外部の認知症初期対応チームが間に入り、サービスを整えています。「介護をしない時間(離れる時間)」を強制的に作らないと、限界を迎えてしまうのが「認認介護」や「老老介護」のリアルな難しさです。
今回はある一つのケースの実際をお話ししましたが、他にも「夫婦どちらかが認知症で、夫婦2人暮らし」の方がいます。その同居家族には、とにかく「共倒れだけは避けましょう。辛い時にはどのようなことでも良いですから声をあげてください」と伝えています。訪問看護師にできることは限られていますが、限界を迎えさせてはいけないと強く感じる日々が続いています。

訪問看護リハビリステーションたもつでは、利用者さんと共に家族の状況を踏まえて地域のケアチームと共に伴走しています。
2026年8月以降の看護師・言語聴覚士・看護師・療法士(山科・京田辺)を募集しています。在宅看護に興味のある方は募集要項にありますメール・電話にて連絡お待ちしています。楽しく、明るく、質の高い看護を提供しましょう。業者を通さず、ホームページからの直接メールまたは電話での採用を優遇し、5万円の就職祝い金を支給します。また、6ヶ月後基本給をアップさせて頂きます。
統括所長 西谷 保
豊崎 宏行
看護師
看護主任
救急看護認定看護師
訪問看護を利用する方やその家族の想いを理解し、利用者・家族が思い描く在宅療養生活ができるよう支援していきたい。
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